岸浜通り-11 床下の布団と湯飲み 〜8人目の痕跡
岸浜通り-11の床下から発見された布団と湯飲み。居住者名簿にない8人目の痕跡。第六処理場の点検口のチョーク書きとの奇妙な符合。

《 深層通信 — この記事は自動削除される可能性があります 》
床下の布団を見つけたのは、岸浜通り-11の建物調査で共用廊下の床板を外したときだった。
点検口とおぼしき木の蓋があったのだ。外すのに手間取った——釘が斜めに打ってあって、手で抜ける状態だったのだが、なぜかみんな「蓋だ」と思い込んで素通りしていたらしい。
蓋の下には埃の積もった布団が一組。それだけなら——誰かの忘れ物だと思われたはずだ。
だが布団をめくると、下から湯飲みが出てきた。粗品とおぼしき白地の湯飲みで、底に「第八新川渡し」の文字。沖修二の船に積まれていた粗品と同じものだ。
布団は人の体温でへたっていた。最近まで使われていた形跡がある。
居住者名簿には、この建物の住人は7名——磯貝勝、戸川静枝、宇野貞夫、沖修二、そして三名——と記録されている。
8人目はいなかったはずだ。だれがこの布団で寝ていたのか。
同じ日、第六処理場3号系統の点検口からはチョーク書きが発見されている。筆跡鑑定の結果は「宇野貞夫のものと30%一致」。
30%という中途半端な数字が逆に気になる。完全に一致していれば決定打になる。完全に違っていれば切り捨てられる。
30%——つまり、宇野貞夫の字を真似た誰か、あるいは誰かと宇野貞夫の字が混ざっている。
点検口のチョークは3日前に消された。拭いた痕跡がある。拭いたのは誰か——夜勤の者の作業と記録にはない。
床下の布団は証拠品として保管されたらしい。しかし、保管庫の受払簿には該当する記載がない。
布団はどこへ行ったのか——あるいは、最初からなかったことになろうとしているのか。
《 この記事は深層通信の特性上、正確性は保証されません 》
市民の声
この記事のコメント欄は、快適性維持のため閉鎖中です。再開の予定は告知されません。
本欄は内務情報調和庁の情緒基準に基づき運営されています。